AWSではS3やEBSなどストレージサービスがいくつかあります。これらのストレージは容量ごとの料金やスループットが異なるため、用途に応じて使い分ける必要があります。
今回はAWSの代表的なストレージサービスとこれらの違いをご紹介いたします。
AWSの代表的なストレージサービス
AWSの代表的な3つのストレージサービスを比較してみます。
それぞれの特徴にあわせて、最適なストレージを選ぶことがベストプラクティスとして推奨されています。
それぞれのストレージで最も優れている点を赤字にしています。
サービス | EFS | EBS(汎用SSD) | S3(標準) |
---|---|---|---|
スループット | 数GB/Sec | 1GB/sec | 最も遅い |
同時アクセス | 複数AZの複数EC2 | 単一EC2 | 複数AZの複数EC2 |
1GBあたりの料金 | 0.33USD | 0.10USD | 0.023USD |
基本的には性能が価格に比例していると考えてください。
ただし、EFSはファイルストレージに特化しているサービスだったり、EBSは単一のEC2からしか同時アクセスできなかったりと特徴があります。
また、EBSやS3の中でも、スループットやアクセス頻度により何種類かのサービスがありますので、要件に合わせて最適なサービスを選択しましょう。
次の章以降では、EFSやEBSについて追加で解説いたします。
EFSとは?
EBSやS3と比べて、Amazon EFS(Elastic File System)はあまりなじみのないサービスかもしれません。
EFSは2018年7月より東京リージョンに実装されたサービスで、EC2上にファイルサーバを構築するよりも信頼性やパフォーマンスが高くなります。
EFSの主な特徴は以下の通りです。
・ディスク容量性制限がなく、スケーラブルに拡張される
・スループットがEBSよりも高速
・複数AZに保存されるため、データの信頼性が高い
・複数のEC2インスタンスから同時アクセスが可能
EBSのボリュームタイプ
EBSのボリュームタイプには、SSDやHDDによりいくつか種類があります。
それぞれの特徴を掴んで最適なボリュームを選択しましょう。
SSDタイプ
SSDタイプは価格は高いですが、ハイスループットが実現できます。
特にミッションクリティカルなワークロードには、最適化された「プロビジョンドIOPS SSD」を選択しましょう。
SSDタイプ | 汎用SSD | プロビジョンドIOPS SSD |
---|---|---|
ボリュームサイズ | 1GiB-16TiB | 4GiB-16TiB |
最大スループット | 160MiB/秒 | 500MiB/秒 |
1GBあたりの利用料金 | 0.10USD | 0.125USD |
HDDタイプ
HDDはアクセス頻度が低いワークロードに、低価格で利用できます。
ある限られた短時間のみSSD並みのスループットを出したい場合は、「スループット最適化HDD」を選びましょう。
汎用SSDと同様バーストパケットモデルがあり、クレジットを消費してI/Oを一時的に上げることができます。
また、よりアクセス頻度が低い大容量データには、「Cold HDD」を選択しましょう。
HDDタイプ | スループット最適化HDD | Cold HDD |
---|---|---|
ボリュームサイズ | 500GiB-16TiB | 500GiB-16TiB |
最大スループット | 500MiB/秒 | 250MiB/秒 |
1GBあたりの利用料金 | 0.045USD | 0.025USD |
AWS認定のストレージサービスに関する問題
問題
確認問題として、ストレージサービスに関する「AWS認定 ソリューションアーキテクト アソシエイト」レベルの問題を出題します。
150GBのデータベースを利用するアプリケーションが、EC2インスタンスで動作しています。そのアプリケーションは、短い時間帯に集中的に使用されます。
最も費用対効果の高いストレージタイプはどれですか。
1.Amazon EBS プロビジョンド IOPS SSD
2.Amazon EBS スループット最適化 HDD
3.Amazon EBS 汎用SSD
4.Amazon EFS
解答
費用対効果という点で、それぞれの価格を見てみます。
EFS(0.33USD) > プロビジョンド IOPS SSD(0.125USD) > 汎用SSD(0.10USD) > スループット最適化HDD(0.045USD)
最も安いのは「スループット最適化HDD」です。
これが問題で求められる要件に当てはまるかというと、「150GB」というデータ容量と「短い時間帯に集中的に」という単語がポイントになります。
データ容量としてはHDDでも問題なく、スループット最適化HDDによるバーストにより要件は満たせそうだと考えられます。
よって、回答は「2.Amazon EBS スループット最適化 HDD」となります。
その他「AWS認定 ソリューションアーキテクト アソシエイト」の問題を確認したい方は、以下参考書をオススメいたします。AWS認定の受験生だけでなく、AWSを利用する方の知識としてよくまとめられています。
AWSをイチから学ぶなら「RaiseTech」
また、クラウドサービスでトップシェアのAWSの技術を身につけてスキルアップや転職を考えているなら、「RaiseTech(レイズテック)」がオススメです。
現場で使われる技術にフォーカスして、ほかスクールにはない圧倒的なサポートをしてもらえるので、短期集中で環境構築、自動化、DevOpsなどのAWS技術を身に着けることができます。
「RaiseTech」とAWS認定での資格取得によるスキルアップで、もう一段上のエンジニアへステップアップしましょう!
また、AWSで人工知能(AI)もやりたいと考えている人は、完全オンラインのプログラミングスクール「Aidemy」もおすすめだよ。
まとめ
AWSのストレージサービスの違いを解説いたしました。
違いを理解して、AWS認定に備えておきましょう。
コメント
問題についての質問です。
答えがスループット最適化HDDであるとの件、
スループット最適化HDDの最小ボリュームサイズが500GBであること、その他が1GBからプロビジョニング可能であることについては加味せずともよいのでしょうか。
実際500GBずつプロビジョニングするのであれば、とは思いつつ、実際の試験ではどの程度の目測が求められるのかわからず、疑問に思ってしまいました。
可能であればご教示頂きたいです。
勉強野郎様
コメントへの返信遅れて申し訳ございません。
アソシエイトレベルの問題としては、各EBSやEFSなどのコスト感がわかっていれば問題ないかと思います。
また、AWS設計上でも、150GBのデータベース利用で150GBちょうどのストレージでは冗長性がないため、最初から余裕を持たせたストレージを設計しているとも考えました。
問題文にある「短時間に集中的に使用される」という点も「スループット最適化HDD」を誘導しているかと思います。