こんにちは、なつめです。
サッカーのワールドカップ・ロシア大会では、前回大会の王者でFIFAランキング1位のドイツが予選落ちと大番狂わせが起こっています。このFIFAランキングとは予選リーグの組合せ抽選などでリーグ間の不公平さを無くすために用いられていますが、どのようにして決まるのでしょうか。
今回は、2006年方式のFIFAランキングの計算方法の解説と、ロシアW杯での結果を元にFIFAランキングを計算してみたいと思います。
※本記事でご紹介している計算方法は2006年方式ですが、2018年ロシアW杯開催時点では2018年方式が発表されています。2018年6月7日発表分までは2006年方式ですが、2018年7月19日発表分からは2018年方式で計算されます。
FIFAランキングとは?
FIFAランキングとは、国際サッカー連盟(FIFA)によりFIFAに加盟する各国・地域を1つの指標で評価した順位です。FIFAランキングは、過去4年間の国際Aマッチ*1の成績をもとにポイントを計算し、毎月更新されます。
ちなみにFIFAランキングは過去2回計算方式が変更され、現行方式は2006年より採用されています。ちなみに2018年6月時点の日本のFIFAランキングは61位ですが、前回のブラジル大会2014年は54位、前々回の南アフリカ大会2010年時は29位、新指標以降の最高順位は2011年4月の13位です。ちなみに過去最高は、旧指標時の1998年2月の9位と、ベスト10入りを果たしたこともあります。この年に日本はW杯初出場でしたが、フランス大会は3戦全敗で予選リーグ敗退でした。
2006年方式のFIFAランキングの計算方法
それでは計算方法について、見ていきましょう。なお、2018年現在では2018年方式が最新なので、以下の記事をご参照ください。
大まかな計算の流れ
FIFAランキングは以下の手順で計算します。
計算1:(A)勝ち点 × (B)試合の重要度 × (C)対戦国間の強さ × (D)大陸連盟間の強さ × 100 = 試合ごとのポイント
計算2:過去1年目の平均ポイント × 100% + 過去2年目の平均ポイント × 50% + 過去3年目の平均ポイント × 30% + 過去4年目の平均ポイント × 20%
※ここでの過去1年目は、過去1ヶ月~12か月前を指しています。2018年1月を例にすると、過去1年目は2017年1月~12月、過去2年目は2016年1月~12月、過去3年目は2015年1月~12月、過去4年目は2014年1月~12月をそれぞれ指すことになります。
1試合ごとのポイントを計算1で算出したのちに、過去4年間の結果を近い結果の比率が高くなるように計算2で算出しています。それでは、計算1の各項目のポイントを見ていきます。
(A)勝ち点
W杯と同じく、勝ち:3点、引き分け:1点、負け:0点です。
負けると点数がもらえないため、ポイントを取るには勝つか引き分けるしかありません。
ただし、PK戦において勝敗が決まった場合は、勝ち:2点、負け:1点となります。
(B)試合の重要度
試合の重要度は以下のように定義されます。
1.0:親善試合(東アジアサッカー選手権などの小地域選手権もこれに含まれる)
2.5:大陸選手権の予選、FIFAワールドカップ地区予選
3.0:大陸選手権の本大会、FIFAコンフェデレーションズカップ
4.0:FIFAワールドカップ本大会
ちなみに、W杯主催国はW杯予選が免除されるため、試合の重要度が2.5と高くて試合数も多いポイント稼ぎの機会を失うことになります。その影響のためか、トップ10常連国のブラジルは2014年W杯予選に参加しなかったため、2013年6月には22位まで後退しています。開催された2014年5月には3位まで順位を上げましたが、開催国が不利になるランキングと言えます。
(C)対戦国間の強さ
対戦国の強さは、その時点での最新のFIFAランキングが適用されます。FIFAランキングの高い国に勝つことで、ランキング上昇に大きく寄与します。
1位:2.00
2位~150位:(200 – (相手国のFIFAランキング))÷ 100
150位以下:0.50
(D)大陸連盟間の強さ
対戦国が所属する大陸連盟ごとに以下の定数となります。欧州と南米以外は0.85と低くなっているため、欧州や南米と試合する機会が少ないアジアやアフリカ勢は不利な指標となっています。
CONMEBOL(南米):1.00
UEFA(欧州):0.99
その他*2:0.85
ロシアW杯でのFIFAランキングを計算
日本戦で計算してみよう!
日本は予選リーグH組で、1勝1敗1分でした。それぞれの試合のFIFAポイントを計算してみます。W杯本戦なので(B)試合の重要度は4となります。
まず初戦のコロンビア戦は、
(A)勝ち点3 × (B)試合の重要度4 × (C)対戦国間の強さ1.84 × (D)大陸連盟間の強さ1.00 × 100 =2208です。
2戦目のセネガル戦は、
(A)勝ち点1 × (B)試合の重要度4 × (C)対戦国間の強さ1.73 × (D)大陸連盟間の強さ1.00 × 100 =588です。
最終戦のポーランド戦は、
(A)勝ち点0 × (B)試合の重要度4 × (C)対戦国間の強さ1.39 × (D)大陸連盟間の強さ1.00 × 100 =0です。
以上の3戦の平均ポイントは932となります。
ロシアW杯予選結果のFIFAランキング
ロシアW杯の予選が終わった段階でのFIFAランキング計算結果です。本ランキングは予選リーグ3試合の平均値となります。
順位 | 国名 | ポイント |
---|---|---|
1 | クロアチア | 2,002 |
2 | ベルギー | 1,846 |
3 | フランス | 1,562 |
4 | ブラジル | 1,515 |
5 | ウルグアイ | 1,494 |
6 | コロンビア | 1,349 |
7 | メキシコ | 1,274 |
8 | デンマーク | 1,197 |
9 | スイス | 1,122 |
10 | スウェーデン | 1,115 |
11 | イングランド | 1,102 |
12 | スペイン | 993 |
13 | ロシア | 979 |
14 | ポルトガル | 976 |
15 | 日本 | 932 |
16 | セネガル | 918 |
17 | イラン | 799 |
18 | 韓国 | 788 |
19 | アルゼンチン | 752 |
20 | ナイジェリア | 705 |
21 | ドイツ | 697 |
22 | セルビア | 602 |
23 | ペルー | 558 |
24 | サウジアラビア | 527 |
25 | チュニジア | 493 |
26 | ポーランド | 473 |
27 | アイスランド | 260 |
28 | コスタリカ | 256 |
29 | モロッコ | 251 |
30 | オーストラリア | 248 |
31 | エジプト | 0 |
32 | パナマ | 0 |
予選リーグを全勝で通過したのは、A組ウルグアイ、D組クロアチア、G組ベルギーの3か国ですが、クロアチアがトップとなりました。
同じく全勝のウルグアイですが、グループAは開催国枠のロシアがいたため全体的にFIFAランキングが低いチームが集まったため、ポイントは5位となってしまいました。
また、1試合当たりの最高ポイントはFIFAランク1位のドイツを破ったメキシコと韓国の2376ポイントでした。
日本は決勝出場国の中では最下位のアルゼンチンに次ぐ下から2番目でした。決勝トーナメントでは強豪国と当たるので、勝利すれば大きなポイント獲得が期待できますので、頑張って欲しいですね。
まとめ
FIFAランキングの計算方法と2018年ロシアW杯の予選結果をもとにFIFAランキングを計算してみました。FIFAランキングの仕組みと、「何でこの国の順位がこんなに高いの?」「もっと日本がFIFAランクあげられないの?」という疑問が解決できたでしょうか。W杯の決勝トーナメントの結果と合わせて今後も確認してみたいと思います。
2018年方式でのFIFAランキングの計算方法はこちらをご参照ください。
*1:年齢制限のない代表チーム同士による公式国際試合。W杯やアジアカップなどの大陸選手権はもちろん、親善試合も含まれる
*2:2014年W杯以降、CONCACAF(北中米)、AFC(アジア)、CAF(アフリカ)、OFC(オセアニア)で同じ定数が採用されました。2014年W杯前には北中米が0.88、他が0.86となっていたこともあります。
コメント
初めまして。
FIFAランク計算は過去3回改訂されており、ロシアW杯後の2018年7月19日発表のFIFAランキングから4度目の変更となる(2018年方式)。
この記事では、3回目の改訂(2006年方式)の計算。2006年方式の計算は、2018年6月7日発表分までである。
従って、4度目の変更(2018年方式)でぜひ、計算しなおして、訂正記事を書いてほしい。
知らない一般の人が誤解しないように。
2018年方式計算方法↓
https://resources.fifa.com/image/upload/revision-of-the-fifa-coca-cola-world-ranking.pdf?cloudid=jgxjkdrj1jfwyunjbkha
2006年方式の(C)対戦国間の強さ × (D)大陸連盟間の強さも無くなり、計算2の年間平均ポイント計算も無くなる。
ご指摘ありがとうございます。
おっしゃる通り、2018年W杯開始時点では2018年方式が採用されていますので、本記事は訂正させていただきます。
計算方法の事例も挙げていただき、ありがとうございます。