最新2018年方式でのFIFAランキングの計算方法 ~2018年ロシアW杯を例に解説~

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ワールドカップ・ロシア大会も終わり、改めてサッカー熱が再燃した人も多いのではないでしょうか。
今回は前回のブログでご紹介したFIFAランキングの最新2018年の計算方法の解説と、ロシアW杯での結果を元にFIFAランキングを計算してみたいと思います。

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FIFAランキングとは?

FIFAランキングとは、国際サッカー連盟(FIFA)によりFIFAに加盟する各国・地域を1つの指標で評価した順位です。

FIFAランキングは、過去4年間の国際Aマッチ*1の成績をもとにポイントを計算し、毎月更新されます。

 

ちなみにFIFAランキングは過去2回計算方式が変更され、現行方式は2006年より採用されています。

ちなみに2018年6月時点の日本のFIFAランキングは61位ですが、前回のブラジル大会2014年は54位、前々回の南アフリカ大会2010年時は29位、新指標以降の最高順位は2011年4月の13位です。

ちなみに過去最高は、旧指標時の1998年2月の9位と、ベスト10入りを果たしたこともあります。この年に日本はW杯初出場でしたが、フランス大会は3戦全敗で予選リーグ敗退でした。
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FIFAランキング2018年方式の計算方法

それでは2018年方式のFIFAランキング計算方法について、見ていきましょう。

大まかな計算の流れ

FIFAランキングは以下の手順で計算します。

FIFAランキング2018年方式の計算方法

FIFAランキングポイント
= (A)試合前のポイント
+ (B)試合の重要度 × ( (C)試合の結果 × (D)試合の期待結果 )

2018年方式は試合前までのポイントを加算する方式のため、2006年方式からの移行はスムーズに行えます。また、2006年方式は年間でポイントを平均していたため、W杯予選のようなポイントが高くなる試合を積極的に勝ちに行き、親善試合のようなポイントが低い試合は回避することでFIFAランキングを高く保つ代表がありました(通称2006年方式の抜け穴)。2018年方式では、将棋やチェスの強さを数値化するElo(イロレーティング)の計算方法に基づき、既存のポイントから勝敗により加算/減算される方式のため、2006年方式の抜け穴は回避されています。

それでは、各項目の計算方法を見ていきます。

 

(A)試合前のポイント

試合前のFIFAポイントです。2006年方式で使っていたポイントがそのまま引き継がれます。

 

(B)試合の重要度

試合の重要度は以下のように8段階で定義されます。

5:国際Aマッチデー以外の親善試合
10:国際Aマッチデーの親善試合
15:各ネーションズリーグ
25:各ネーションズリーグの最終リーグとプレーオフ
25:各大陸選手権予選とFIFAワールドカップ各大陸予選
35:各大陸選手権本大会の準々決勝までの全試合
40:各大陸選手権本大会準決勝以降の試合
50:FIFAワールドカップ本大会準々決勝までの全試合
60:FIFAワールドカップ本大会準決勝以降の試合

今回のW杯では、準々決勝までが50ポイント、準決勝以降は最大となる60ポイントでことからFIFAランキングには非常に重要な試合となっています。

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(C)試合の結果

試合の結果はW杯などの勝ち点とは異なり、勝ち:1点、引き分け:0.5点、負け:0点となります。

(D)試合の期待結果

この部分がイロレーティングによる計算方法の特色となっています。

D = 1/(10^{-E/600} + 1)

E = (自チームの試合前のポイント) – (相手チームの試合前のポイント)

詳しい計算方法は置いておき、(D)試合の期待結果は0~1に収束します。つまり、自分のチームが相手チームに勝つ確率(期待値)とイメージしていただければいいと思います。

例えば、W杯ロシア大会最大のジャイアントキリングであるドイツ対韓国の試合前のFIFAポイントは、ドイツ1,517に対し韓国527でした*2

この時韓国の期待結果は0.02と、勝率は2%にすぎませんでした。いかに韓国の勝利が驚きだったかわかるかと思います。

ロシアW杯でのFIFAランキングを計算

日本戦で計算してみよう!

日本は予選リーグH組で、1勝1敗1分でした。そして、決勝トーナメントでベルギーに敗退しています。それぞれの試合のFIFAポイントを計算してみます。W杯準々決勝以下なので(B)試合の重要度は50となります。

 

まず初戦のコロンビア戦は、
(A)試合前のポイント521+ (B)試合の重要度50 × ( (C)試合の結果1 − (D)試合の期待結果0.144*3 ) =564です。

2戦目のセネガル戦は、
(A)試合前のポイント564+ (B)試合の重要度50 × ( (C)試合の結果0.5 − (D)試合の期待結果0.259*4 ) =576です。

予選最終戦のポーランド戦は、
(A)試合前のポイント576+ (B)試合の重要度50 × ( (C)試合の結果0 − (D)試合の期待結果0.114*5 ) =570です。

決勝トーナメントのベルギー戦は、
(A)試合前のポイント570+ (B)試合の重要度50 × ( (C)試合の結果0 − (D)試合の期待結果0.05*6 ) =568です。

 

結果だけを見ると、日本はW杯で1勝1分2敗の成績でしたが、FIFAランキングが高い国と試合ができたので、W杯前の521から568に上がっています。FIFAランキングが高いチームに負けてもFIFAポイントはほとんど下がりませんが、FIFAランキングが低いチームに負けると大きくポイントが下がります。そのため、W杯ではFIFAランキングが高い欧州や南米がFIFAランキングが低いアジアやアフリカ圏のチームに敗戦すると、大きくランキングの変動も発生しますので、W杯後のFIFAランキングも注目です。

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ロシアW杯予選結果のFIFAランキング

ロシアW杯後のFIFAポイントを独自に計算してみました。

W杯前順位国名W杯前W杯後変動ポイント
1ドイツ1,5581,468-90
2ブラジル1,4311,407-24
3ベルギー1,2981,33941
4ポルトガル1,2741,217-57
5アルゼンチン1,2411,172-69
6スイス1,1991,165-34
7フランス1,1981,312114
8ポーランド1,1831,115-68
10スペイン1,1261,078-48
11ペルー1,1251,087-38
12デンマーク1,0511,044-7
12イングランド10511,0532
14ウルグアイ10181,05638
15メキシコ9891,00011
16コロンビア986975-11
20クロアチア9451,062117
21チュニジア910894-16
22アイスランド908864-44
23コスタリカ884863-21
24スウェーデン88093757
27セネガル8388446
34セルビア75177019
36オーストラリア718716-2
37イラン70874335
41モロッコ686676-10
45エジプト649574-75
48ナイジェリア61864022
55パナマ571550-21
57韓国54457632
61日本52156847
67サウジアラビア4654683
70ロシア45754891

W杯全体を通して最もポイントを挙げたのは惜しくも準優勝となったクロアチアの+117です。

優勝したフランスは+114でしたが、FIFAランキング20位のクロアチアの方が強い相手を破ってポイントが稼げたことになります。

また反対に最もポイントが下がったのは、前回優勝国であるドイツのー90でした。FIFAランキング1位となると、1試合落としただけで1位から陥落してしまうリスクがありますが、今大会のW杯結果では以前トップにいる模様です。

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まとめ

FIFAランキングの2018年方式の計算方法と2018年ロシアW杯の予選結果をもとにFIFAランキングを計算してみました。FIFAランキングの仕組みと、「何でこの国の順位がこんなに高いの?」「もっと日本がFIFAランクあげられないの?」という疑問が解決できたでしょうか。次回のW杯カタール大会やコパアメリカなどの大陸選手権時にFIFAランキングを気にしながら観戦してみてはいかがでしょうか。

 

 

*1:年齢制限のない代表チーム同士による公式国際試合。W杯やアジアカップなどの大陸選手権はもちろん、親善試合も含まれる

*2:ドイツ、韓国共に2戦後を考慮したポイントです

*3:コロンビアの試合前のポイントは986

*4:セネガルの試合前のポイントは838

*5:ポーランドの試合前のポイントは1109

*6:ベルギーの試合前のポイントは1324

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